はじめに
産業廃棄物の収集・運搬・処分を業として行うには、原則として都道府県知事等の許可が必要です(法14条1項、6項、15条1項)。
ただ、再生利用を後押しするため、あるいは自社内で完結する合理的な処理を妨げないために、一定の場面では許可が不要とされています。さらに、遵法性や環境配慮の高い事業者を評価する仕組みも用意されています。
許可制度の原則は前回記事にまとめています(→ 産業廃棄物処理の許可制度と実務対応)。本稿では、その「例外」と「認定」を整理します。
許可が不要となる主な場合
まずは、法律上、最初から許可を要しないケースです。どちらも「リスクが相対的に低い」ことが背景にあります。
自ら処理
排出事業者が自社で発生させた産業廃棄物を、自社の施設で運搬・処分する場合は、業の許可は要りません。発生から最終処分までの管理主体が同一で、責任の所在が明確だからです。
もっとも、次のような場合は「自ら処理」から外れます。
- 他人の廃棄物を混載・共同運搬する場合
- グループ会社・関連会社の廃棄物を扱う場合(原則として「自ら」には含まれません)
自ら処理であっても、処理基準(法12条)は当然に適用されます。ここを忘れると、思わぬ行政処分の対象になりかねません。
専ら再生利用の目的(法14条1項ただし書・6項ただし書)
古紙、くず鉄、空きびん、古繊維といった「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」(いわゆる専ら物)のみを取り扱う場合も、許可は不要です。再資源化の流通が確立しており、環境リスクが比較的低いからです。
ここは実務判断が分かれやすいところです。
- 専ら物以外が混ざる、汚泥が付着するなど「専ら」の範囲を逸脱すれば、許可が必要になります。
- 形式ではなく実態で見られます。選別・保管の運用を整えておくことが大切です。
認定により許可を不要とする特例
次は、環境大臣の認定を受けることで、一定範囲の許可が不要になる仕組みです。「リサイクルを広げたいが、都道府県ごとの個別許可が足かせになる」場面を想定して設計されています。
(1)再生利用認定制度(法15条の4の2)
再利用認定制度(法15条の4の2
制度の趣旨は、生活環境への配慮を確保しながら、再生利用を大規模・安定的に行う施設を確保することです。安定的な生産設備を用いて自ら再生利用を行う者が想定されています。
要件の概要は次のとおりです。
- 再生利用の「内容」が、生活環境保全上支障のない基準に適合すること
- 再生利用を行う「者」が、能力・体制等の基準に適合すること
- 再生利用に用いる「施設」が、構造・維持管理の基準に適合すること
認定の効果は明快で、認定の範囲については、収集・運搬・処分の業許可と、処理施設の設置許可が不要になります(15条の4の2第3項)。
広域認定制度
製造者等が全国規模で回収・リサイクルを行う仕組みです。環境大臣の認定を受けると、認定の範囲で都道府県ごとの業許可は不要になります。二輪車・パソコンなどでの運用が典型例です。
この制度は、個別のリサイクル法を除けば法的責任が及びにくい生産者の自主的な責任をを想定しています。市町村・都道府県単位の許可がリサイクルの障害になるという問題意識から、生活環境保全に配慮しつつ、広域での回収・再資源化を可能にする特例です。
実務では、回収計画の実効性や情報提供体制、報告の運用が重視されます。更新や取消の想定も含め、最初から運用設計をしておくと安全です。
優良産廃処理業者認定制度
法令遵守、透明性、環境配慮、財務基盤などの観点から設定された評価基準に適合する処理業者を、都道府県知事等が認定し、優遇する制度です(法14条2項・7項、14条の4第2項・7項、施行令6条の9・6条の11 等)。業界の底上げと、排出事業者の委託先選定のしやすさにつながります。
評価項目(例)は次のとおりです。
- 実績・遵法性:5年以上の継続実績、不利益処分歴の有無 など
- 透明性:事業・財務の情報開示体制
- 環境配慮:ISO14001等の環境マネジメントの認証
- デジタル化:電子マニフェストの活用状況
- 財務:自己資本比率10%以上、最終処分場では維持管理積立金の積立て 等(施行規則9条の3、10条の4の2)
メリットは実務に直結します。
- 許可の有効期間が7年(通常は5年)になります(法14条2・7項、14条の4第2・7項、施行令6条の9等)。
- 更新・変更時の申請書類の一部省略が認められます(施行規則9条の2第4項、10条の4第3項)。
- 許可証に評価基準適合の記載が可能で、他都道府県での審査や排出事業者への提示に有利です。
- 環境配慮契約法に基づく運用により、国・独法の委託では優先選定の取扱いがあります。
制度の詳細や申請・更新の手引きは、環境省の運用マニュアルをご参照ください(詳しくはこちら|環境省「優良産廃処理業者認定制度 運用マニュアル」(PDF)
実務上の注意
許可不要=無規制ではありません。処理基準や改善命令の適用は残ります。専ら物の混入・汚染次第では許可が必要になることもあります。
自ら処理の範囲は厳格に見られ、グループ内であっても他社分の受託や共同運搬は許可が必要になる可能性があります。
また、再生利用・広域認定はいずれも「更新・取消」を想定した制度運用です。記録・報告、品質保証の仕組みは最初から組み込んでおくと安心です。
まとめ
本稿では、法律上の「最初から許可不要」と、認定により「一定範囲が許可不要になる」仕組みを見ました。いずれも、生活環境の保全を前提に、資源循環を妨げないための工夫です。
優良産廃処理業者認定は、適正処理を担うプレイヤーを可視化し、長期許可や事務負担の軽減で後押しします。委託側の事業者にとっても、合理的な選定基準として機能します。
許可制度の原則と全体像は、こちらをご参照ください(産業廃棄物処理の許可制度と実務対応)。

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